三木谷がクリムゾンを好む訳

/15 三木谷がクリムゾンを好む訳

 このHPも二年目を迎えようとしている。二年という歳月は、ヴィッセル神戸をJ2に落とし、消滅の危機となっている。カラー変更がその原因であるのだが、三木谷の個人的事情によるとも言えるだろう。04年3月9日に「カラー変更」は申請された。5月15日の会社説明会で「満員になった開幕戦の会場を見ても、白黒では一体感が出ない。ヨーロッパのクラブをみても歴史的に 「赤」のクラブに「強い」というイメージがある。これらを統合して、赤がいいと思った。卒業した一橋大学、ハーバード大学の色は関係ない。マーチャンダイジングの点からも売上が伸びると考えている」と回答したが、欺瞞であろう。

 同4月5日に「ベンチャーマインドが次代を創る」との表題で一橋大学入学記念講演会が行われた。二年前、反対署名只中での講演である。当時は内容に意味を感じなかったが、二年にわたる資料分析によりおぼろげながら、三木谷の意図が読み取れるようになった。現在は、借金返済のための公募増資の渦中であるが、当時は「カリスマ経営者」として絶頂期にあったと思われる。「勝って兜の緒を締めよ」と言われるが、TBS統合提案に見られるように猪突猛進の性格は直らないようである。これから、二年目の分析を始めたい。

 

/16 三木谷がクリムゾンを好む訳U

 赤は情熱を表す。情熱は、努力であり、前進であり、スピードである。三木谷が情熱家であることは間違いない。問題は、それが過剰であることだ。読み解いていこう。

 

「はじめに」

(中略) 

 インターネット・ショッピング・モール「楽天市場」を運営する楽天株式会社は7年前に私と、当時大学院修士課程2年生、24歳の本城愼之介の二人で作った会社です。その会社が、今やJASDAQで圧倒的ナンバーワンの時価総額を得て、すさまじい勢いで発展しております。しかし、これに満足するのではなく、まだまだ精進して頑張らなければならないと思っています。

 本日は、私が大学卒業後に就職した興銀から始まり、学生と一緒にこの会社をつくってきた自分自身の経験を振り返ることで、新しい日本のリーダーになるために必要な要素は何かということを、少しでもみなさんに伝えられればいいと思っております。(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷は自分の会社が「ナンバーワン」であり「すさまじい勢いで発展」と表現し、自己を「新しい日本のリーダー」になぞらえている。客観的評価というものは他人によるものであるから、彼は客観的に自己を見ていないようである。何故そうなるか。スパルタ教育の弊害であろう。スパルタ教育を目標があり、それを達成するために全精力を集中することとしよう。三木谷の父親も「敵を知り己を知らば、百戦するも危うからず」と「神戸空港問題」で語っておられるようだ。目的達成のためには、子供の能力を見極める必要がある。もし、能力を過大に評価した場合、子供は混乱に陥るのだ。目標が達成できないのは自分の努力が足りないからと、自己を責めるようになる。岡山白陵中学での身長の伸びが止まったことはこの例証と思われる。あのころのスパルタ教育は「他人は敵」と思えと叱咤激励していたように思う。楽天市場や楽天トラベルでの手数料値上げでの強圧的態度は、この「他人は敵」の精神が染み込んでいるからではないのだろうか。TBS統合提案での「買ってどこが悪い」はその例証であろう。

 

/18 三木谷がクリムゾンを好む訳V

 一橋大学の新入生に対する講演会だから、三木谷も油断したのであろう。割合、正直に話している。

 

「自己紹介」

(中略)

「興銀からベンチャー設立へ」

 私の略歴ですが、1965年生まれで一浪して84年に一橋大学商学部に入学し、88年に無事卒業して日本興業銀行に就職しました。みなさんの中には日本興業銀行を知らない人もいるのではないかと思いますが、昔の日本興業銀行は「民間の大蔵省」と言われたほどの隆々とした銀行で、現在は「みずほ銀行」の一部である「みずほコーポレートバンク」に相当する会社です。入社3年目の91年に同期で一番早く一人だけ選ばれて、ハーバード・ビジネス・スクールのMBAを取得して帰ってきました。

 ここまではビジネスマンの王道を行くような経歴と言われるのですが、そこから一転して95年に興銀を退職してクリムゾングループという会社をつくりました。実はハーバードの愛称がクリムゾンで、一橋のアメフトのチームにもクリムゾンというのがあり、そこからクリムゾンをとりました。ひとりの会社だったのですが、大きく聞こえると思って「グループ」と名付けました。

 クリムゾングループは何をやるかが決まっていた訳ではなく、取り敢えずベンチャー企業を日本に興そうと考えて作りました。経歴を見てもおわかりいただけるとおり、私も興銀ではそれなりに嘱望されていたのですが、働く中で「新しい日本はこういう産業界の延長線だけではダメだ。新しいベンチャー企業を作る必要がある」ということを身をもって感じて、人生は一度きりということで一念発起し、会社を設立しました。(一橋大学入学記念講演会)

 

 これから、論評することになる「バブル」が三木谷に与えた影響、そして彼の情熱の代名詞である「クリムゾン」が、上記の発言で現れている。ヴィッセル神戸をクリムゾンカラーに染めようと思ったことは明白であろう。この実験は、見事に失敗したわけだが、「大きく聞こえる」との本音から類推すれば、大きな夢を語ってしまったということになる。それにしても、一ツ橋の新入生にはこんなに優しく語り掛けるのに、ヴィッセル神戸の「荒くれ」たちには「決定事項」と冷たくあしらうのであろうか。やはり、神戸に対する近親憎悪があるような気がする。読み解いて行けば、見えてくるであろう。

 

/21 三木谷がクリムゾンを好む訳W

 三木谷もまさかこの講演会がネット上に公開されるとは思わなかったので、心のうちを暴露した。

 

「インターネット・ビジネスの立ち上げ」

(中略)

 「なんで最初から社名を「楽天」にしなかったんだ、とよく聞かれるのですが、まだちょっと自信がなかったんですね。失敗して他のことをやらなくてはいけないかもしれないので、取り敢えず「楽天」という名前はやめておこうということで、当時、楽天の副題というかニックネームで「マジカル・デジタル・マーケット」という名前を付けていたんですが、その頭文字を3つ取って、エム・ディー・エムという社名にしました。」(一橋大学入学記念講演会)

 

 「ちょっと自信がなかった」し「失敗して他のことをやらなくてはいけないかもしれない」と心配していたと告白している。三木谷の「過剰」は情熱であり、「欠乏」は独自性と正確さである。その不安を打ち消す麻薬が「クリムゾン」なのであろう。

 

/23 三木谷がクリムゾンを好む訳X

 三木谷の人脈とブランド重視が良く分かるところを読もう。

 

「一橋はキャプテン・オブ・インダストリー」

 先ほど学長が一橋は「キャプテン・オブ・インダストリー」だとおっしゃいました。たしかに世の中を見てみますと、石原慎太郎東京都知事、田中長野県知事、トヨタの奥田会長、テニス部で私の一年後輩であるインデックスの小川社長をはじめ、今世の中では一橋ブームともいうべきものが起こっております。

(中略)

 せっかく私が講演をさせていただく機会を得たので、今年度入学される方からはぜひもう少しチャレンジングなメンタリティを持っていただきたいと思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

 都知事の息子さんとも同級生である、銀行業務参入に役にたったであろう。「チャレンジングなメンタリティ」とは、「カラー変更」で聞かされた文句である。

 

/25 三木谷がクリムゾンを好む訳Y

 二年前、小泉の構造改革が叫ばれていたころである。三木谷は「夢を語ろう」で神戸市の経営を批判し、「ベンチャー精神」で世界を目指すと宣言した。次の発言と対照しよう。

 

「新しい変化の象徴」

 起業してから私は様々な経済の賞を受賞しました。「一橋を出て、ハーバードを出て、興銀を出て、エリートの道を捨てた兄ちゃんがおもろいビジネスやったら成功した」ということで評価されたのだと思います。私は俳優でも歌手でもないので賞を受けることにはあまり意味がありませんが、私のような人間が成功事例を示すことによって、日本においても大企業だけが経済を動かすのではなく、ベンチャービジネスが大きな影響を与える、という流れになっていけばよいと思っております。また、「平成の名経営者」(スライド)に選ばれたり、読者が選ぶ「奥田内閣」(スライド)に入っていたりします。単に経済的な成功が注目されているだけでなく、社会的に見ても新しい変化の象徴になっているのではないかと思っており、私自身も社会に変革を起こしていきたいと考えています。(一橋大学入学記念講演会)

 

 二年たてば、「成功事例」としての三木谷が「社会的に見ても新しい変化の象徴」として「変革を起こしていきたい」ためにヴィッセル神戸をクリムゾンに変えて成功させようと意気込んでいたことが良く分かる。現実はヒルズ族であるホリエモンが「粉飾決算」で逮捕されたことにより、赤い服でも意味が違ってきたのである。

 

/27 三木谷がクリムゾンを好む訳Z

 三木谷は「成功体験」とよく口にする。楽天の成功は彼の実力だったのだろうか。次の発言をかみ締めよう。

 

「楽天の軌跡」

 楽天株式会社は設立当初は小さな会社でしたが、去年1年間合計で約600億円の買収を行うなど、今やインターネット業界の人なら世界的にも誰もが知る存在になっています。先週のウォール・ストリート・ジャーナルでも一面トップで扱われました。楽天は米国以外の国で一番成功しているインターネット企業といってもいいでしょう。(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷の経営者としての資質に問題ありと、さまざまに考えてきた。三木谷には自己を相対的に評価するという能力に欠けるのが分かるだろう。二年前、三木谷は「楽天」が「米国以外の国で一番成功しているインターネット企業」と判断したのだ。根拠は「時価総額」と思われる。「時価総額」が企業価値ではないことを、今我われは思い知ったわけなのだが、上記の発言は三木谷の「金融理論」が浅はかであることを証明している。クリムゾンがなせる業である。

 

/30 三木谷がクリムゾンを好む訳[

 三木谷は、人生でさまざまに方針転換をしている。テニスの選手、頭取、コンサルタント業、現在楽天で成功しているわけだ。そして、ヴィッセル神戸の経営を「ベンチャー精神」で改革しようと「夢を語ろう」で宣言したわけだ。次の言葉は、三木谷の日本改革の意気込みを示している。

 

「ベンチャーの役割」

 私達の代が大学を卒業したときはベンチャー企業に就職することなど考えもしなかったし、大学に入ったときはベンチャーという言葉さえ知りませんでした。ときどき、中小企業に就職するような変わった先輩がいまして、なんで中小企業なんかに就職するんだろうと思っていました。

 しかし現在ではすべてが変わっていまして、米国を見ると世界をリードしている会社、例えばフォーチュン・ファイブ・ハンドレッドのトップ10の半分はマイクロソフト、オラクル、EMC、シスコ・システムズなど、IT系のベンチャーが占めています。

一方日本ではこのようなベンチャーの成功例がなかなか出てこないのが実情で、楽天のような会社が出てくることが本当に重要なことだと思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

まさに、三木谷のアメリカかぶれが良く出ている。ベンチャー‐ビジネスとは「 高度な知識や新技術を軸に、革新的、創造的な経営を展開している知識集約型の小企業。」(ヤフー辞書)とするならば、ダイエーの成功はいい例であろう。世の中が停滞したとき、進取の精神を持った若者が出てくるのは自明なのだ。三木谷の欠点は歴史認識の欠如と指摘してきた。今、我々は三木谷がTBSとの交渉で進退きわまっているのを見ている。これが、「ベンチャー企業」なのだろうか。大前が「TBSの土地が欲しかったのではないか」と論評していた。村上ファンドも「阪神」買占めで進退窮まっている。アメリカ到来の「M&Aウイルス」のワクチンは「怖がらないで持久戦」なのだ。三木谷には有利子負債という亡霊が取り付いている。もうじき、暴れだすのだ。

 

/3 三木谷がクリムゾンを好む訳\

 ホリエモンが「世界一の企業を目指す」のと同じく、三木谷も「まだ超一流のお墨付きはもらっていない」(假面の告白16(潤うことのない渇望))と二年前思っていた。

 

「米国のベンチャーとの違い」

 米国の企業との違いですが、米国のベンチャー企業は、アマゾンにしてもヤフーにしてもイーベイにしても、かなり大きなベンチャー・キャピタルの資本を入れた上で、専門的な経営者が参加して経営されてきたのですが、楽天の場合はそうではなく、学生を含む社員が自分達のオリジナリティーを発揮することで成長してきた会社です。(後略)(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷の野望は楽天をアマゾンやヤフーに伍する企業にすることだろう。だが、「自分達のオリジナリティー」だけで成長していくにしても時間がかかる。そこで「時価総額経営」という内容よりも資本を先に作ることにしたわけだろう。ソフトバンクの成功は孫正義が小学校のときから起業を考え、パチンコ店の父親から商売のコツを教え込まれたことによる。三木谷の父親は大学教授であり、理論重視に落ちいり、消費者を忘れることになる。

 

/5-2 三木谷がクリムゾンを好む訳]

 「楽天」のキーワードは、バブル崩壊によるゼロ金利と規制緩和、そしてインターネットの普遍化ということであろうか。楽天の成功は三木谷の実力か「神風」が吹いたのか、彼の発言を聞いてみよう。

 

ランキングを見ると、ほとんどの分野で楽天が一位になっており、売上高も、普通の企業では考えられないほどの右肩上がりになっています。日本経済も、景気が少しは回復しているような感がありますが、まだ低迷しているわけで、そのような状況下では考えられないようなことが起こっているわけです。(一橋大学入学記念講演会)

 

 得意満面である。ハーバード大学MBAの面目躍如ということにもなろうか。トップランナーは一番風当たりがきついことを知らぬ様でもある。

 

/6 三木谷がクリムゾンを好む訳Ⅺ

 楽天は金融業になってしまったので、ベンチャー企業ではなくなった。「スピード、スピード、スピード」の風圧は、クリムゾンの香りを飛ばしたようである。

 

「ベンチャーは経済の活力源」

 米国にはこのように成長しているベンチャー企業がいっぱいあるわけです。そして、その会社が新しい産業を生み出し、新しい雇用を生み出し、新しい経済の活力源をつくっているのです。これから一橋大学がキャプテン・オブ・インダストリーということを標榜するのであれば、新しい産業、新しい会社をつくっていく若者がこの中からどんどん生まれてくるようにならなければなりません。(一橋大学入学記念講演会)

 

 若者を鼓舞するのも良いだろう、だが、「カラー変更」でどれだけの若者の心を傷つけたのだ。楽天市場市場では小店主から多額の手数料を取り、楽天トラベルでは経営に苦しむ旅館業者に手数料値上げを押し付けた。「新しい雇用を生み出し」たいのであれば神戸に本社を持ってくることがいいのではないのか。

 

/9 三木谷がクリムゾンを好む訳Ⅻ

 昨日、子供たちの前で屈辱的なオウンゴール負けをした。我々の経営者が二年前何を考えていたかを見てみよう。

 

「スポーツ・ビジネスへの進出」

 社会貢献ということもあり、最近は個人的にスポーツ・ビジネスへ進出しておりまして、ヴィッセル神戸というサッカーチームを買収しました。楽天は知らなくてもヴィッセル神戸は知っている、ヴィッセル神戸は知らなくてもイルハンは知っているという方も多いと思います。

 

 私がヴィッセルを買収する前は、神戸市役所の助役がヴィッセル神戸の社長を務めていたのですが、現在は、25歳、26歳、27歳の若い人たちが、すでにヴィッセル神戸の経営の中核を担っています。そのように新しいスピード感をもった展開をどんどんしていこうと考えています。(一橋大学入学記念講演会)

 

 「社会貢献ということもあり」と発言しているので、社会貢献100%ではないことを告白している。「スポーツ・ビジネスへ進出し」だから、儲けようとしたこともはっきりした。「イルハン」獲得が、知名度頼りであったことも確定した。今、バックスター監督であるが、これも知名度頼りだったのだろう。名将に名臣あれば怖いもの無しだが、昨日の試合はそうではないことを証明している。神戸市の経営を「若い人」に替え、「新しいスピード感をもった展開」で見事に失敗したことは明白である。

 

 レオン解任騒動で分かったように三木谷は「プロサッカーの世界」を知らなかった。それなのに、若手に経営させてうまくいくわけもない。ずいぶん金を絞られたわけだ。それに懲りて、今度は補強費を惜しむのだから「中途半端」と判断せざるを得ない。神戸でサッカーチームを運営するということは「献身」、わが身を飢えた虎に与えた釈迦の前身ぐらいの覚悟がいるのだ。深紅にしてヴィッセル神戸を「変える」ということであったが、現時点では悪く変えたわけだ。

 

/13 三木谷がクリムゾンを好む訳13

 クリムゾンを基調に三木谷の心理と行動を探っていくことになる。

 

「日本の現状」

 今までが簡単な楽天の軌跡と私の紹介でした。私の学生時代はバブル期で、正直言って一橋大学で金融のゼミに入ってテニス部のキャプテンをしていれば、就職にはまったく困らないという状態でした。残念ながら、みなさんの時代とはだいぶ違うのではないかと思います。ここで、どのように違うかということについて少しお話させていただきます。

 

 私達の世代が大学に入学したときは日本はライジング・サンと呼ばれ、日本の銀行が世界のトップテンの大半を占めるという状態でした。そもそも思い起こせば、それが失われた十年へのプロローグだったと思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

 「正直言って」というのだから、本音なのだろう。「一橋大学で金融のゼミに入ってテニス部のキャプテンをしていれば、就職にはまったく困らない」とは、就職のため「金融のゼミに入って」「テニス部のキャプテンをし」たということである。鬼キャプテンのため、役にも立たぬハードトレーニングをさせられた部員は恨んでいることだろう。こういう生き方は、中堅幹部としてのものであり。トップになれば、判断を誤ることとなる。

 

 三木谷は自我形成期にアメリカの小学校で過ごした。思考回路として日本語と英語を使い分けることとなったようである。これから、分析していくわけだが、三木谷の成長に母性原理と父性原理がバランスよく配合されたかということがある。前から、父への言及は多い傾向があると分析してきた。母を語らぬのは何か意味があるようである。

 

 「ライジング・サン」の意味だが日本帝国主義をさしているのではないか。朝焼けの茜雲から昇る太陽である。赤へのこだわりが感じられる。当時、アメリカは21世紀は日本の世紀になるのではないかと恐れていた。三木谷の心も揺れ動いていたのだろう。

 

/18 三木谷がクリムゾンを好む訳14  

 「仮面の告白」で三木谷の心理分析の端緒としたわけだが、二年の歳月を経て「血の色」の意味が少し解けてきたような気がする。

 

「閉塞感」

既得権益

 私が銀行を辞めた95年には、日本の企業には閉塞感がありました(スライド)。その原因はまず、既得権益に依存したビジネスが大部分であったことです。制度・規制に守られた組織は米国にも多少は存在するのですが、日本ではその存在ははるかに顕著にでした。将来性がなければエキサイトメントもなしということです。当時から「興銀というのは本当に必要なのか」と言われていて、先輩には「興銀は大蔵省(今の財務省)が潰さないから大丈夫だ」と言われましたが、働いている身からすると、そんなところで働いていても面白くないということで、非常に閉塞感がありました。(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷は「エキサイトメント」と表現している。ヤフー辞書では「興奮, 動揺, 激高」と訳される。普通の男は妻子のために「夢」を取らず(現実の仕事)を受け入れるものだが、それは「面白くない」のである。明治維新、昭和維新、若者たちは「閉塞感」を打ち破るため、「血判状」を取り交わした。「興奮, 動揺, 激高」がさせる業(わざ)である。本当に、血の匂いは人間を興奮させる。

 

 常に社会は「新陳代謝」をしていくものではあるが、それは道理にかなわねばならない。「白黒」では面白くないから「赤」に変えるというのは道理に合わないのだ。

 

/22 三木谷がクリムゾンを好む訳15

 「閉塞感」と三木谷は表現しているのだが、時代が閉塞していると捕らえるのは若者の常である。アメリカかぶれの三木谷は「既得権益」に続いて原因を分析する。

 

「年功序列」

 もう1つの原因は年功序列でした。今でも一部では「雇用は継続すべき」とか、「リストラはダメだ」という意見があるのですが、私はこれに反対しております。つまり、旧人を守るということは若い人に新しい機会を与えないことだと思います。そういう意味では、今の日本の社会は逆差別という状況になっていて、今後は若い人の能力をもっと活かすような社会にしなければならないと思っています。(一橋大学入学記念講演会)

 

 ややこしいことを言うのがこのHPの本分ではない。オジンからいえば、226事件の青年将校たち、団塊の世代の「全共闘」が正しかったのだろうか。「青年将校」たちは天皇陛下の閣僚を殺すことにより、日中戦争の後押しをしてしまった。「全共闘」も権威を失墜させるのには成功したが、大学の自治を狭める結果となった。

 

 幕末の勤皇の志士たちも、商人たちを脅した金で祇園で浮かれたときもあったようだ。三木谷も上場して得た金で「銀座豪遊伝」らしい。

 三木谷も、時代のハザマで「神」に選ばれたと「悪魔」にささやかれたのだと思う。

 西郷隆盛は征討軍司令官として「神」に選ばれ、「悪魔」は桜島の露と消えさせた。抜刀隊の歌は流れ続けるのだ。

 

/26 三木谷がクリムゾンを好む訳16

 三木谷は「アメリカ文化至上主義」のようである。だから、楽天市場で小店主を馬鹿にしたような規約を押し付けるのであろうか。二年前の、三木谷の日本産業の分析を読んでみよう。

 

「産業の陳腐化 ― IT化の遅れ ―」

 3つ目は産業の陳腐化で、IT化の流れに遅れたことが閉塞感を生んだ非常に大きな原因だと思います。

 

 先般株式公開をした新生銀行では銀行のオンライン・システムを作る際、すべての投資額を約10億円に収めました。オンライン・システムの構築には約2000億円から3000億円を投資するのがこれまでの常識でしたが、新生銀行ではインド人の開発責任者を登用し、10億円でシステムを作ってしまいました。これがまさに現在のグローバル・スタンダードと言えるわけです。そのような面で日本の金融機関やその他の産業はIT化が遅れ、それが非常に大きなネックになっていると思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷がシステムというものを理解していなかったことは、楽天証券でのシステムトラブルにより「金融庁」より処分を受けたことで理解していただけるだろう。楽天市場の成功は本城氏のシステムによるものであり、営業面では晴子氏の貢献があったことを忘れてはならない。

 なぜ、日本がIT化の流れに遅れたのだろうか。現在はウインドウス全盛ではあるが、かって「トロン」というOSを産学一体で開発しようとしたが、アメリカの横槍で中止に追い込まれた。あのときの官僚たちの嘆きを忘れられない。今、リナックスとして甦ったようである。

 我が、持論ではあるがシステム言語としての英語対漢字の戦いになる。そして、漢字圏の勝利となるだろう。これから、いやおうなく日中の経済は親密化する、当然ながら漢字によるシステムが有利であることは間違いない。もう、中国がアメリカ国債の最大保有者である。金を持つものが覇権を握るのであうから、アメリカの凋落は自明であろう。

 

/3 三木谷がクリムゾンを好む訳17

 三木谷の経営は極めて攻撃的である。我々は、叶屋専務の「決定事項」でそれを知ることとなった。その理論的根拠が次に示される。

 

「二極化現象」

 現在景気が少し回復していると言われていますが、私の個人的見解では、今後はIT化、グローバル化に対応できている企業とそうでない企業との間で二極化現象が進むのではないかと思っています(スライド)。

 わかりやすく言うと、トヨタ、日産など国際レベルで競争している会社、最近はエレクトロニクスの会社も復調してきましたが、そのような国際競争にさらされている日本の企業はすべて復活していくのではないか。一方では、国際競争にさらされていない産業、金融機関、行政などは陳腐化していくのではないかと思います。

 この「TWO JAPAN」という考え方は、ハーバード・ビジネス・スクールの有名なマイケル・ポーターという人が提唱したのですが、この二極化現象を解消していくのがベンチャーなのではないかと思います。新生銀行も一種のベンチャーだと言えます。(一橋大学入学記念講演会)

 

 理論的な検討は後日ということにしよう。二年前、三木谷は自分を「ベンチャー」と思っていた。今の姿は、金融業、不動産業である。「陳腐化していく」はずの「国際競争にさらされていない産業、金融機関」になったわけだ。三木谷のこの自己矛盾は「楽天」という命名に現れている。アメリカかぶれならば、そのものになりきればいいようなものだが、彼の心の葛藤が「血の色」として染み出すのだ。前から、彼の成長過程での未解決の問題、「父との相克」だろうと言ってきた。良一氏は「攻撃的」で「アメリカ的」な人である、ナイーブな彼の心は封印されてはいるが「血の色」という言葉に象徴されているのだ。テニスの選手になりたかったのに、父親に逆らえなかったということは、彼の人生に暗い影を落としている。

 

/11 三木谷がクリムゾンを好む訳18

 三木谷は「後悔するのがリスク」と起業したわけだが、その意味が次の発言で解き明かされる。

 

「個人の力が重要に」

 一方、ミクロ的な視点でいうと、個人の力がより重要なファクターになってきます。ここがみなさんの時代が私達の時代と違うところです。

 昔は、大企業に就職すれば一生食べていけました。私の父は経済学者で、「銀行に就職すればいい。銀行は金を持っているから潰れない」と言っていましたが、ウソでした。どんどん金融機関がつぶれました。

 そういう状況下で、自分のビジネスマンとしての、あるいは学者としての個の力をいかに磨くかが非常に重要なファクターになってくると思っています。その意味では、これからの学生時代の4年間で色々なことを楽しみ、経験を積むことと同時に、幅広い知識、能力を蓄えていくことが重要ではないかと思います。

 米国の大学では文武両道を実現している人が非常に多く、これからの一橋の学生にはそういうマインドが必要なのではないかと思っています。(一橋大学入学記念講演会)

 

 前節で日本を「二極化現象」と理解した三木谷は、「大企業」つまり「国際競争にさらされていない産業、金融機関、行政などは陳腐化していく」とする。その論拠が日本の経営者には「文武両道を実現している人が非常に」少ないということらしい。三木谷は「Wall Street Journal」を愛読しているようである。日経新聞を愛読すれば、日本の経営者の多くは「文武両道」に秀でていることは歴然であるのだが、アメリカかぶれには読む気も起こらないのであろう。

 なぜ、三木谷がアメリカかぶれか、父の「ウソ」に対抗したいのであろう。人間の心理として、「夢」を抑うつされた時、解放を目指すため「憧れ」が現れる。それが「クリムゾン」ではないのか。テニスの選手になる夢を捨てた後悔が、形を変えて、起業と言うリスクをとった。これで、三木谷の人生の意味が読めるのである。ただ、動機が不純であるため、文化摩擦を起こすのであろう。

 

/18 三木谷がクリムゾンを好む訳19

 三木谷も、本業の話になると、なにやら怪しくなる。クリムゾングループからMDM(楽天市場)への転換を考えてみよう。次の発言から。

 

「閉塞感を打ち破る」

 そもそも私が会社を始めたのはベンチャーをサポートするベンチャー・キャピタルなるものを作ろう思ったからなのですが、周りを見回してもサポートしたいベンチャー企業がありませんでした。そこで、仕方なく自分がベンチャーを始めたのですが、やはり起業するというのは素晴らしいことです。みなさんも、そういう生き方があることを頭の片隅に置いていただければ良いと思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

 クリムゾングループの設立趣旨は次のとおり。

 

(Mission)

日本の情報産業の育成

ベンチャー企業の経営支援

 

 これは、いっている通り。だが、何もしなかったわけではなく、DirecTVは大失敗。ソフトバンクとは決別している。事業を見てみよう。

 

(Projects)

・衛星多チャンネル放送DirecTV

・ネットワーク事業(ジョイントベンチャー)

Search Engine事業〜米国企業との提携による展開

・大手メディア関連企業の事業展開のサポート

・ダイナミックファイヤーウォール事業〜米国企業との提携による展開

・フランチャイズ・ファーストフードの展開(ジョイントベンチャー)

 

・メンバーが過去にアドバイスを行った主な企業:

ソフトバンク、 ベネッセコーポレーション、 カルチャアコンビニエンスクラブ、ひらまつなど

 

 仕事は、いっぱい有ったようではあるが、いかんせん、資本も知恵も足らなかったようである。

 

/24-2 三木谷がクリムゾンを好む訳20

 三木谷はヴィッセル神戸の買収に当たって「ベンチャー精神」という言葉を使った。その意味を読み取ろう。

 

「ベンチャー・マインド」

 ベンチャー・マインドとベンチャーというのは違いまして、ベンチャー・マインドというのは、他人から助けられるのではなく、自分が中心になって動くことだと思います。私の学生時代は、学業と共にテニス部での経験というのが非常に大きなポイントだったと思います。これからの学生時代の4年間、そのように挑戦し続けるポイントを持っていただきたい。(一橋大学入学記念講演会)

 

 マインドとは精神であり、心である。彼の行動原理は「他人から助けられるのではなく、自分が中心になって動くこと」なのだ。そして、「挑戦し続けるポイント」の意味であるが、「points on driving、運転の心得(ヤフー辞書)」、スピードを持って突っ走ることであろう。

 

/30 三木谷がクリムゾンを好む訳21

 楽天の「社訓」である「成功のコンセプト」を、二年前の彼の言葉で味わうならば、ほろ苦いものである。

 

「できるビジネスマン」

「成功のコンセプト」

 成功するために何が必要かということをこの7〜8年の間考えてきたのですが、成功するビジネスマンには共通性があると思います。楽天の中では、この「成功のコンセプト」という5つの項目(スライド)を言い続けています。それを言い続けてきたことが、楽天がここまで来るための原動力だったと思っています。

 

 1つは、「常に改善、常に前進」ということ。「ここまでやったからいいや」ではなくて、「ここまでやったら、もう1つ高い山を登るんだ」というマインドを身に付けてほしい。2つ目は「プロになりましょう」ということ。3番目が「仮説→実行→検証→仕組化」、4番目が「顧客満足の最大化」、5番目が「スピード!!スピード!!スピード!!」です。みなさんはビジネスマンではないので、この1番と5番を身に付けてください。

 

 まず、常に高い目標に向かって頑張っていく、具体性をもって頑張っていくということを身に付けていただきたい。そして5番目のスピードですが、学生時代は本当に自由で時間がいっぱいあるのですが、私の周りには、気が付くと何もやっていなかったというような友人もたくさんいます。学生時代の4年間をどう過ごすかによって、かなり資質が変わってきます。スポーツをやるにしろ、勉学をやるにしろ、アルバイトをやるにしろ、とにかく具体性をもって速く、どんどんやっていくことがとても重要です。(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷が「この7〜8年の間考えてきた」などと告白したのも、新入生を前にして油断したのであろう。日本人の基本的な「無常観」があるならば、「成功」しても「死」が待ち受けているわけであるから、「常に高い目標に向かって頑張っていく」のではなく、どこかで立ち止まるわけだ。

 彼は「常に改善、常に前進」という「原動力」に捕らわれているがゆえに「スピード!!スピード!!スピード!!」と「時価総額極大化経営」を止めることが出来なかった。

 戦線を拡大したならば、各部隊の位置と戦力及び敵の情勢を判断するために作戦会議が必要である。「一兆円」はあくまで目標であり、こだわることも無いのだろうが三木谷は「とにかく具体性をもって速く、どんどんやってい」ったのであろう。

 

/7-2 三木谷がクリムゾンを好む訳22

 三木谷は自分が「エリート」だと思っている。だが、「弘法にも筆の誤り」という、彼の欠点は「カラー変更」で見られるように、独断専行であろう。彼の構想を読んでみようか。

 

「メジャーリーガー構想」

 

 それから、もう1つ、私が言い続けているのは、メジャーリーグ化構想というものです。これは、とにかく“できる奴”が集まる会社にしよう、ということです。“できる奴”が持っている資質を分析すると、基本的にはこの3つに集約されます(スライド)。1つはマインド、つまり精神力です。2つ目がナレッジとスキル。3つ目はヴィジョン構築能力で、これが特に重要です。(一橋大学入学記念講演会)

 

 ヴィッセル神戸の叶屋専務は、この三拍子そろった経営者なのだから降格したのだろうか。それとも、頭越しに決めるから現場が混乱したのだろうか。とにかく、彼の構想には問題点があるのである。

 

/11-2 三木谷がクリムゾンを好む訳23

 「大言壮語」というが、次の発言はそう感じさせる。

 

 「求められる3つの資質」

 

「ヴィジョン構築能力」

 

 ここが本題なので、1つ1つ噛み砕いてお話ししましょう。申し上げたとおり、ヴィジョンを構築する能力が非常に重要です。楽天の特長は、自分達のオリジナルな発想で成長して来た点ですが、一方で私が世界を知っているということは非常に大きなアドバンテージでした。(一橋大学入学記念講演会)

 

 当時、銀行の不良債権問題が解決し始めたときである。三木谷は、内部事情を知りえたわけであるから、銀行首脳たちを「世界を知らない」と思っていたことの例証である。西川氏は彼の後ろ盾ではあるが、本当は彼をこう思っているのではないのだろうか。

 

/14 三木谷がクリムゾンを好む訳24

 ゲンダイネットによれば、「村上が仲間の“犯罪”をもらしているという情報がかけめぐっているからだ。犯罪の中身が仰天。インサイダーの話ではなく、クスリだというのだ」という噂があるそうだ。音楽家が薬に溺れるのは「薬」が安易に別世界に連れて行ってくれるからだ。修行においても「魔境」といい、「自分が超能力を持った」という境地に達する時がある。だから、先達を交え、修行は一人では行ってはいけないものである。もちろん、弘法大師は別格ではある。三木谷の言葉を見つめよう。

 

「個人が情報収集能力を持つ」

 

(中略)

 

「ヴィジョンを持つ」

 

(中略)

 

  それから、最近の楽天が矢継ぎ早に行った買収にしても、当然社内には、「なんで楽天が金融機関を買収するんだ」あるいは「なぜ3百何十億というお金を使って旅行の企業を買収するんだ」という疑問を投げかける社員や幹部もいたのですが、そのような議論が起こるとき、おそらく私に見えているヴィジョンと、他の人に見えているヴィジョンは違うのでしょう。

 

「右脳からくる発想」

 

 右脳と左脳というのがありますね。右脳がイメージ力、左脳がロジカルな分析力を司っていると思うのですが、学問でもビジネスでも、大部分の発想というのは右脳からくるのではないでしょうか。そう強く思った出来事があります。昔、『NHKスペシャル』で放送された将棋の羽生名人の特集で、羽生名人の脳の活動を観察しながら対局してもらうと、右脳だけが活発に活動していることがわかったのです。一方、小学生に将棋をさせると左脳が活発に活動するのです。すなわち、羽生名人が将棋を指すときは、「相手がこう打ってきたら、こう打つ」と考えるのではなく、「なんとなくそこ」と考えるわけです。ところが、普通の人は相手がここに「歩」を打ってきたら、そこに「金」を打とうとか、ここに「桂馬」を動かそうとか考えるのです。人間の頭というのは、そんなものではなくて、直感力、「先を読む力」が非常に重要だと思います。ただし、そのように右脳を鍛えるには、直感を論理的思考で検証することを繰り返し、右脳と左脳を何回も行き来するといった訓練を積むことが必要だと思います。

 

「右脳を鍛える」

 

 もっとわかりやすく言うと、たとえば、野球のバッターは、次はフォークが来る、あるいは、ああいう握り方をしたら次はカーブというように言語的に考えているのではなく、なんとなくカーブが来そうだということを直感して打つのでしょう。それを振り返って言語で表現すれば、おそらく、そんな感じだろうということでしょう。

 

 それと同じことがすべてのビジネスについて言えるのではないでしょうか。この右脳を鍛えるということが、非常に重要なポイントになってきます。そのためには様々な訓練を積み、多様な事象に遭遇することが重要でしょう。単に受動的に待つのではなく、自分が活動のリーダーシップをとることによって、そのような能力が身に付いてくるのだと思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷の論理は「私に見えているヴィジョンと、他の人に見えているヴィジョンは違う」のは「直感を論理的思考で検証することを繰り返し、右脳と左脳を何回も行き来するといった訓練」により「自分が活動のリーダーシップをとることによって、そのような能力が身に付いて」いるからという事であろう。経営者に「直観力」は重要である。だが、行動する前にさまざまに検証しなければならない。「短絡」という言葉があるが、直感に頼ったが故に「秀吉ビル」問題と「TBS統合提案」が有ったと考えれば、非常に説得力がある。

 

/19-2 三木谷がクリムゾンを好む訳25

 漁師は子供を海に投げ入れて泳ぎを覚えさせるというが、良一氏はわが息子をアメリカの「小学校」という「坩堝(るつぼ)」にいれて三木谷をバイリンガルにしたわけだ。効果としては、「ナレッジとスキル」と言ってしまうように、英語で考える頭脳にしてしまった。問題点は、「過剰」なまでのアメリカ崇拝である。

 

「ナレッジとスキル」

 

「英語、IT、会計」

 

 2つ目のナレッジ、スキルですが、ここが我々の時代と非常に大きく違うところだと思います。ビジネスマンになろうという人にとっては、次の3つの項目が必須です。

 

 1つは英語。まず、英語はこれから絶対に必要な要素になります。英語でコミュニケーションができないと情報源が非常に限られます。英語だけではなく中国語でもいいですが、少なくとも英語でコミュニケーションができることが重要だと思います。情報が入ってくる、あるいは世界の人と話すことができなければダメです。(一橋大学入学記念講演会)

 

 彼の欠点は「世界」とは英語圏のことであり、イスラム圏や少数民族を忘れ去っていることであろう。だから、ヴィッセル神戸の少数民族など切り捨てることが出来るのだ。経営者の世界観としてはこの欠陥は致命的である。

 

/23-2 三木谷がクリムゾンを好む訳26

 三木谷が語らなくなって久しい。「不明」を悟ったのであろう。経営者というものは「未来から見られている」という意識が必要である。

 

もう1つがIT知識。私が起業したときは、ITの知識はほとんどありませんでした。ただ、私と一緒にビジネスを始めた本城にしても、楽天の幹部にしても、IT知識は優れたものがありまして、彼らのおかげで楽天がここまで成長したとも言えますし、起業後私自身も一生懸命勉強しました。ビジネスとITというのは切っても切れないものなので、基礎的なプログラミングぐらいの知識はぜひ身に付けていただきたいと思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

 新入生への「講演会」がネット上に公開されるとは思っていなかったで「基礎的なプログラミングぐらいの知識」しかないことを告白してしまうのである。別に経営者が「IT知識」を持っていなくても何の問題も無い。人は使うものなのだから。問題は「カリスマ経営者」を演じようとしたためにそれを隠したことにある。本城氏は彼をよく知るがゆえに、切られたのだろう。惜しいことである。

 

/29 三木谷がクリムゾンを好む訳27

 三木谷の精神構造を読み解いてきたのだが、「ナレッジとスキル」を「英語、IT、会計」の三要素に分解している。

 

3つ目が基礎的な会計知識。少なくとも、この3つはマスターしておく必要があると痛感しております。(一橋大学入学記念講演会)

 

この発言の時期は「公募増資」と「株式分割」の時期である。増資をして、分割をして、株価が下がらない、「時価総額経営」の本領発揮のときであつた。バブル倒壊により、規制緩和政策の一環として「新興市場の育成」政策が取られたことにより、「投資事業組合」に見られるような「連結逃れ」が許される状況でのことである。

 

三木谷は、「6/27 楽天証券は債務超過かもしれない(持株会社設立の理由)」で指摘したように、「会計知識」が豊富である。66億の「楽天証券」が10億の「楽天証券ホールディング」に「楽天証券の普通株式1株につき、新会社の普通株式1株の割合で割当て」て「減資の疑いの有る」子会社化を「株式移転方式」と表現するのであるから。

 

/4-2 三木谷がクリムゾンを好む訳28

 求められる3つの資質の最後が「マインド」である。

 

「マインド」

 

「コミュニケーション能力」

 

 3番目のマインドですが、ここは学生が自由な時間を使って成長させることができる分野ではないかと思います。1つはコミュニケーション能力です。これは何をする場合も非常に重要です。自分の考え方をちゃんと人に伝えられるかどうか、それから、人を動かすことができるかどうかが重要だと思うのです。

 

「人を動かす」

 

 私はよく胆力と表現するのですが、いくら分析力が優れていても、そんなものはビジネスの場ではあくまでもツールの1つであって、いかに他人のモチベーションを上げて他人を動かしていくかが非常に重要な素養になります。学部生の方は今から4年間あるわけですから、色々な形で様々な活動に携わり、コミュニケーション能力をどんどん高めてほしい。それから、一橋はキャプテン・オブ・インダストリーであるわけですから、リーダーシップをとるような局面に挑戦してください。「私は部長という柄じゃないから」ではなく、「私が部長をやるんだ」という気概で臨んでいただければと思います。(一橋大学入学記念講演会)

 

 三木谷の「コミュニケーション能力」を評価するならば、ヴィッセル神戸の運営会社は「クリムゾンフットボールクラブ」でありチームカラーは「DEEP RED」である。日本語は深紅で統一できても、英語では別色なのだ。彼の考えが、バイリンガルであり、神戸という地方チームと「コミュニケーション」出来なかった証拠である。

 

 また「人を動かす」のも「鬼軍曹」として命令は出来ても、人の心を動かせなかったのは事実が証明している。

 

/15 三木谷がクリムゾンを好む訳28(世間虚仮、唯仏是真W)

 このコラムを終わらせるが、最初に三木谷を「猪突猛進」と評した、「おわりに」を読んでみよう。

 

「おわりに」

 

 非常に月並みな講演で大変恐縮ですが、私が大学に入学してからの20数年間を振り返ってみて非常にわかりやすくいえば、この3つ(ヴィジョン構築能力、ナレッジ・スキル、マインド)をいかに成長させていくかが大変重要であると痛感しております。これをお伝えしたことがみなさんのお役に立てばと思います。それでは、これで講演を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。(一橋大学入学記念講演会)

 

 この講演会の表題は「ベンチャーマインドが次代を創る」である。三木谷は、ハーバード大学で「次代を創る」ベンチャービジネスを学んだのであり、祖父、父と三代に渡りハーバード大学キャンパスの空気を吸ったのだ。そして、「卒業した一橋大学、ハーバード大学の色は関係ない。マーチャンダイジングの点からも売上が伸びると考えている」への歴史の回答が「売り上げ激減」であった。

 

 もう、エピローグの準備を始めなければならないのであろうか、「桜花」第二号の発射はあるのだろうか。

 

 

 

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