榊原氏の言い訳

/21 榊原氏の言い訳(ホリエモンは負け)

 榊原氏が唯一ホリエモンの負けを断言したが、ニッポン放送買収では優勢勝ちとなった。どんな言い訳をするかと待っていたら、日経新聞に出たので論評したい。

 俺が金融論などやっても仕方がない。彼の心を見てみたい。彼は、安保闘争の世代である。そして、転向組(革命をあきらめ組織の中に入ることにより展望を開こうとしたものたち)である。彼の心の中には「挫折」(安保世代では転向のこと等を言う)が深く澱んでいるのであろう。

 ホリエモンの登場はあまりにも光り輝いていたため、彼の屈折した心、嫉妬と言っても良いだろう、「ホリエモンは負け」と言ってしまったと思う。大学教授なのだから、「負ける可能性大」と言うべきなのは百も承知、負けて欲しかった男心の悲しさと見ると面白いな。

/22 榊原氏の言い訳U(ホリエモンはマネーゲーマー)

 05年4月19日付「株主至上主義に限界」の要旨は「長期の利益に向け広範に利害関係人を重視する日本型経営」は「短期的な株価押上げを最重視する米国型株主至上主義」より評価できると言うことであろうか。

 上記の理論は「形式的には合法でも暗黙の市場のルールを破る」ホリエモンは「マネーゲーマー」であり「日本の資本市場の健全な発達のために決して望ましい」行動をしなかったことを言うのであろう。

 榊原氏は官僚として日本経済の指導をしてこられた、一言ぐらい「バブル経済」を育成破綻させた行政の責任を書いて欲しかったが、行政はバブルのとき浮かれた「マネーゲーマー」達の責任だと言いたいのだろう。

 バブルの時「形式的には合法でも暗黙の市場のルールを破る」行為が多くあったように思うし、カネボウ、コクド等の不祥事は現実のことである。若者たちに希望を与えると言う「年寄りの責任」、この視点から見ても、榊原氏のホリエモン=マネーゲーマーは、過去の責任逃れのように思えるな。

/23 榊原氏の言い訳V(ライブドアの定義)

 片やライブドア。自社の株価をM&Aなどを繰り返しながら上げ続け、株式市場の虚をつくような形で伸びてきた実業のにおいがあまりしないインターネットのベンチャー企業。株主資本主義・米国型資本主義の典型ともいえる企業である。株価とM&Aの好循環が逆転すれば、たちまち苦境に入りかねない弱さを持った会社でもある。(日経新聞)

実業(農業・商業・工業・水産業など、生産・販売に関わる事業、ヤフー辞書)

 

 榊原氏によればホリエモンは「マネーゲーマー」であるのだから、ライブドアは「虚業」の匂いがしなければならないのであろう。ライブドアは日経新聞によれば金融業が主力のようである。HPを覗いてみたら、インターネット版庶民金融みたいなことをしている。楽天クレジットは保証会社を通さなければ化さないみたいだが、ライブドアクレジットは独自の貸し出し基準があるようだ。フリーターにも貸すみたいだ。

 信用創造をフリーターにまで拡大しているところに彼の創造性を感じるな。若者に夢を与えると言う視点から見れば、「安い金利で金が借りられる」ことで社会人として認め、働く意欲を出ださせることになる。

 ホリエモンの心は性善説に立つような気がする、今日の産経新聞で「独立したジャーナリストだったら社会の不正は暴けるのではないか(要約)」と言ってた、不動明王の怒り(悪に対する怒り)であろう。彼が信念を曲げなければ弘法大師は助けるだろう。

 「米国型資本主義」と言うのは「要は株主から預かった資本をどれだけぶん回せるかなんだから」(産経新聞)等と発言するからだろうが、現代社会を改革しようと言う姿勢が誤解されているのではないか。これからの検討課題だが、彼はきわめて日本的だと思われる。

 次に、ライブドアは「弱さを持った会社」だろうか、新規事業としてライブドアは、場所や時間に制限されることなくインターネットを最大限に活用できる環境を提供することにより、ビジネスユーザーはもとより、広く一般のインターネットユーザーを積極的に取り込んでいき、ネット業者との業務提携を進めることにより、無線LANインターネット接続サービスを開始する予定だ。

 才能の有る若者を認めると言うことは難しいことだ、榊原氏も認めたくないから、深くライブドアを分析せず、経済学者らしからぬ「におい」など等言葉をつかうのであろう。

/25 榊原氏の言い訳W(誤算ではなく変貌)

 榊原氏のライブドアは株主至上主義の会社とする論拠としてアラン・ケネディ氏の「The End of Shareholder Value(邦訳版『株主資本主義の誤算』をあげた。

「ケネディの主張のポイントは株式市場の機関化、M&Aの流行などで短期的に株価を上げることが至上命題になり、経営者が将来の利益を犠牲にしてでも現在の利益を増やそうと言う姿勢になってしまう点である。」(日経新聞、同コラム)

 ホリエモンはまさに、ライブドアの株価を「短期的に上げ」、ニッポン放送株を売却することにより「将来の利益を犠牲にし」た。ホリエモンも「資金をぶん回す」と言うのだから間違いない。

 ここで現状認識として榊原氏は「企業の株主の大部分は短期にしか株を所有せず、長期かつ安定的に株を保有する企業や個人は例外的な存在になってしまっているのである」とするが、日本の企業は「長期かつ安定的に株を保有」されていないのだろうか。今回、ニッポン放送が買い占められたのは、鹿内氏の追放劇による公募増資によって資本関係のねじれが生じてしまったからではないのか。経営者の怠慢が論旨から抜け落ちている。一罰百戒と言う言葉があるが、ホリエモン、既得権に安住する経営者たちを震え上がらせたと言う点に意義があったと思う。

 「株主資本主義の誤算」と約しているが、「株主価値の変貌」と約したほうがいいのではないか。テレビでソロス氏のデーリングルームを見たが、24時間世界の市場を監視して獲物を狙っているんだぜ。日本型経営システムがどう対応するべきかを論ずるべきではないのか。

/27-2 榊原氏の言い訳X(短期と長期)

 榊原氏によれば、「株価至上主義のもとで、四半期ごとの時価会計を求められると、企業は製品やサービスを提供するための生産活動よりも、資産や負債の管理に重点を置くようになる。」と米国のインターネットバブルの崩壊と企業スキャンダルの発生が、短期的な金融取引によってもたらされたとする。

 思い起こせば、バブル華やかなりしころ、経営者たちが「財テク、財テク」と本業を忘れていたことを思い出すが、榊原氏、当時官僚として警鐘を鳴らしていたのだろうか。企業スキャンダルにしても、長期的に山一證券、そごう、コクドは短期的だったのかな。

 ホリエモンを短期決戦型と定義するための論理には無理が有るのではないか。1500億の金を短期に作り出す能力を、素直にほめる勇気を持つべきだろう。

/28 榊原氏の言い訳Y(第二次ITバブル崩壊の予感)

 榊原氏は、株価至上主義により「メーカーの側でも、短期的な株価が重要となれば、なかなか長期的に資金を眠らせる研究開発などには力を入れにくくなる。」とするが、米IBMは26日の株主総会で、過去最大規模の自社株買い及び配当も11%増の0.20ドルに引き上げると発表した。

 また、中前国際経済研究所代表中前忠氏の「米国発不況の構造」(日経新聞夕刊)によれば、米国は抜本的な改革が必要であるが、「アジア危機以降、対米輸出依存度の極端に高まったアジア経済の衝撃は、極めて大きいものになることを覚悟しておくべきだろう。」の見解が出た。

 バブルのときもこうだった、危機が迫っているのに、経済学者たちそして官僚も、こそこそと「コラム」などに書くのだ。榊原氏も判っているのならば、ホリエモンを批判するよりも米国の経済危機の警鐘を鳴らすべきだ。それが人間の道ではないのかな。

/29-2 榊原氏の言い訳Z(日本型経営)

 榊原氏の論旨ではホリエモンの短期決戦型に対比して日本型経営システム(長期戦型)を有効としている。だが、コラムの中に定義していないので、デスクが「長期の利益に向け広範に利害関係人を重視する日本型経営」(前段省略)と紹介している。

 確かに、戦争により疲弊した国力を立ち直らせるために、無駄な競争をせず「貿易立国」を目指すためには有効であった。だが、国が豊かになれば弊害が出てくる。既得権である。年金制度がその典型であろう。公平の立場に立てば、若者が苦しんでいるのだから、年寄りの年金を減らせばよいのだ。原理は簡単だが出来るわけもない。年寄りは権力をもっている、若者は怒るだけだ。

今日の日経新聞に「 ただ、終身雇用制にも落とし穴がある。特定の人間同士が結託して不公平を生んだり、『不祥事などの温床にもなりやすい』」(働くと言うこと2005、一橋大学荒井教授)とある、官僚たちが天下りすることによって一財産出来るようなシステムをつくり、出世術にたけた人間が経営者になるシステムを作ってしまったから、今、若者が苦しんでいるのではないのか。

ホリエモンはこの疲弊したシステムの破壊者とすれば、彼の存在意義が理解できるのではないか。

カラー変更問題で三木谷氏が「経営のため」等と言って若者を苦しめたのも、私には、同じく、人間のエゴに見える。不動明王は怒る。

/-2 榊原氏の言い訳[(時間外取引)

 榊原氏は「日本は米国を二週遅れ」で自由化が先行し法整備が不十分だから法の盲点をホリエモンに突かれたという。米国は日本社会の非関税障壁の撤廃をかねてより主張していて、やっと自由化しだしたのではないか。日本型経営システムとしてTOBは使い勝手が悪いから時間外取引に抜け穴を作っておいたから、ホリエモンに虚を突かれたのだろう。官と業の癒着が、曖昧模糊とした時間外取引であったのではないか。リーマンに言質を取られて、国会で問題無しとなったのではないのか。法整備が不十分なのではなく、法整備しなかったのだ。

 今日の産経新聞の正論で「今度のライブドア事件から、透けて見える日本は、まことに軽薄でしかも幼稚であると断罪せざるをえない。」と結論されているが、老人が若者を非難するときの常套文句に見えますが、いかが。軽薄で幼稚な人間が1500億円も作れるのでしょうか。

/-3 榊原氏の言い訳\(暗黙のルール)

 外資系企業やベンチャー企業を敵視する理由は全くない。しかし、形式的には合法でも暗黙の市場のルールを破るような行為が横行することは、日本の資本市場の健全な発達のために決して望ましいことではない。(同コラム)

 

 「暗黙の市場のルール」とは何を意味されるのであろうか、下種(げす)の勘繰りをすれば、「外資系企業やベンチャー企業を締め出すためのルール」ではないのか。この意味で、ホリエモンは若者に支持されたわけだ。権力を持って、そして「暗黙のルール」に頼り、権力にしがみつく老人たちを若ものたちが笑ったのであろう。

 「日本の資本市場の健全な発達」とは法律用語であり、この用語の基、多くの法律が作られ、「暗黙のルール」と言う行政指導の結果がバブルの倒壊であり、銀行、大企業の不祥事をもたらしたのではなかったか。

 経済学者というものの、官僚の匂いの消えぬ榊原氏、慶応大学の講義は面白くないのだろうな。反論を待っておりますよ。

 

 

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